太陽が二つある世界。
空に浮かぶ空中王国。
争いを嫌って異次元で逃げた。出入りする鍵をもつのは神獣のみ。

王族は同じ種族のものとは子供を作ることはできない。巨大な力を持つ王族の下、
世界を維持してきた。王族が滅びるということは世界が崩壊するということ。

将来の王妃に選ばれたのが優希。
成丁の儀が行われ、とりあえず、女として出る。

クラウスの母である王妃に優希が男であることがばれる。
王妃はその夜クラウスの宮を訪ねクラウスには双子の兄がいることを告げた。跡継ぎが二人いると争いになりかねないと一人は家臣に託された。その後について は家臣も行 方知れずになりわかっていない。

「シェンは、その話を聞いていませんか?」
王妃がシェンに聞く。
「初めて、お聞きしました……」
シェンが王妃に向かい膝をつき頭を下げる。
「母上、なぜシェンが?」
クラウスが疑問を投げかける。
「シェンをあなた付きにと連れてきたのは、大臣のカナリーです。あなたの傍に付けるということは厚い信頼があるということ、全ての事情を知っていてもおか しくないと思ったのですが」
王妃の言葉に、
「もったいないお言葉です。私はカナリーさまに命を助けていただきました。そのご恩返しができればと思っているだけでございます」
そうシェンは答えた。

クラウスの兄を探しに、シェンが行くことに。
王族の特徴は身体にたまったエネルギーを光に代え発光させること。昼には目立たなくても、夜に身を隠すことはできない。
シェンが優希を誘う。
「ここにいたら毎日女装だぞ?」
優希は付いていくという。
明け方、出ようとしたところにクラウスが来る。
連れていってくれ、と言う。
三人で行くことに。
王妃は連絡をくれるようにと一羽の鳥を渡していた。鷹が小さくなったような感じの鳥で、この国では伝達の手段として広く使われている。

実はシェンが兄。
シェンはその事実を知っていた。
そして、優希は夜寝静まった晩、どこかへ行くシェンの後を付いて行き秘密を知ってしまう。
岩陰に隠れ、シェンは身体を発光させていた。
貯まったエネルギーは出さないと、出てしまう。誰かに知られてはいけない。
秘密を守るために、シェンはエネルギーを自分でコントロールしていた。

シェンは優希に黙っていて欲しいと言う。
知られてしまえば、がんじがらめの王族の生活を求められ、子孫を残さなければいけない義務を負う。
おまけに、クラウスに嘘をついていたことを知られる。
それだけではなくて、シェンは優希に惹かれるものを感じていた。その思いも断ち切らなくてはいけない。
もう少し時間を欲しいとシェンは優希に言った。
二人で帰ってくると、テントでクラウスはすやすやと寝ていた。
シェンの優しい眼差しがクラウスに向けられていることを優希は感じた。

クラウスといえば、シェンに恋心を抱いていた。
どうしても結ばれることはないと理解しながらも、好きな人と結ばれない世界を存続させる責を自分が担うことに違和感を持っていた。

王宮を囲む街以外は未開発にも近い土地で、旅を続けながら、獣に襲われそうになったときに助けてもらったり、足場が悪いところは自分が盾になってくれたり するシェンに優希は惹かれていく。

ある日、大臣のカナリーから戻って来いと伝達がくる。
王妃が心労から倒れた。

「シェン、あなたなのでしょう?」
王妃がベッドの縁にシェンを呼んで言う。
シェンは王妃にゆっくりと頷いた。

好きだった人が兄だと知って、クラウスはショックを受ける。旅の中でシェンと優希が惹かれあっているのも感じていた。
兄だと知りながら黙っていたことへの憤りもあり、自分よりも他の人へ思いを寄せる嫉妬と合いまって、クラウスはシェンが思いを寄せる優希を犯そうとする。
妻としてこの世界に来たのだから正当なことだ、とクラウスは優希に主張した。
それを優希は受け入れられなくて、身体を押さえつけられて動けないまま何度もシェンを呼んだ。
「シェンはこないよ。優希は僕のものだから、邪魔はできないよ」
クラウスが冷たく言う。
手が肌を撫でる。
「嫌だっ……シェン!」
「シェンは、この国のために妻を呼んで子供を作らなきゃいけない。優希と結ばれることはないんだ」
「いや……」
優希が足をばたつかせてもシーツをすべるだけで、腕は何かに押さえつけられているように動かなかった。
「そんなに、シェンに来て欲しい?」
クラウスが意味ありげに言い、ドアがばたんと開くとそこにはシェンがいた。
「シェン……嫌だっ!見ないで」
そこに居たというなら、シェンに助ける意志はないのだと優希は悟った。

「いやだっ、あ……」
内股を差し込まれたクラウスの手が窄まりに触れて、優希が身体がぴくんと跳ねた。
「すぐに気持ちよくなるよ」
クラウスの指がさわさわと撫でる。
「あっ……やだっ……」
「シェンが見てるんだから、もっと甘い声をあげなよ」
「いっ――」
指を差し込まれて、息が一瞬止まった。

「クラウス、もう、やめろ!」
シェンの声が聞こえた。
指が抜かれて、優希はやっと息が吸えた。
「僕に命令するの?」
クラウスは振り向くようにシェンを見ていた。
「そういうわけじゃない。だけど、嫌がってるだろ。もう少しやり方があるだろ」
シェンの忠告に、
「どんな?」
クラウスが笑う。
「優希は訳も分からず連れられてきたんだ。もう少し時間をかけてやってもいいだろ」
優希はシェンの声とともに近づいてくる足音が聞いた。
「シェンなら、もっと上手に抱けるって?」
「そんなことを言ってるんじゃない」
「好きなんでしょう?」
クラウスの問いかけに沈黙が流れた。
「残念だね。優希を抱けるのは僕だよ!」
クラウスが吐き捨てるように言う。
「クラウス……お前、変わったな」
「僕は変わってないよ。変わったのはシェンだよ」
「俺のどこが変わった?」
「僕を見てくれなくなった。いつも視線の先にいるのは優希だ。僕がシェンのことを好きだってことは分かってるはずだよ」
「でも、俺たちは兄弟だ」
「それを知っていて、黙ってた。僕をだましてたんだ!」
「違う!クラウス、俺は」
二人を包む淡い光が揺らめいていた。それが時に強く発光する。
「違わないよ。何をどう言い訳しても事実は変わらない。僕は……ずっとシェンに……騙されていたんだ」
最後、クラウスの声は震えていた。
「……お前は俺が憎いのか? なら、優希に当たらずに俺にぶつけろよ」
「憎い? そんな言葉では表せないよ」
「俺をどうしたい?」
シェンはすぐそこまで来ていた。
クラウスが身体を起こしシェンと向かい合う。優希の身体はベッドに縛られたように動かなかった。
シェンの光がクラウスを包み込むように、クラウスはシェンに抱き込まれていた。
「どうしたい? クラウス」
シェンの声は優しかった。
ほどなくして、クラウスの嗚咽が聞こえた。


兄弟は仲直り。
クラウスは優希をシェンに譲ると言った。
クラウスは新たに外界から姫を呼ぶことになった。

うららかな午後、太陽は相変わらず二つ輝いていた。
窓際で、シェンは窓に背を向け窓枠にひじを付き、クラウスは窓枠に手を置いて空を見上げていた。
「いいのか? お前は王としてこの国を守ることに疑問を持っていたんだろ?」
シェンがクラウスに問いかける。
「大切な人がいるから」
クラウスが口元を緩めた。
「大切な人を守るためには、この国が平和であることが必要だから……光が満ち風が吹き水が溢れ、そんな力を守っていかなきゃいけないから」
穏やかな声で続ける。

「優希は帰るの?」
突然クラウスが見てきて、優希は視線を伏せた。
「……分からない」
帰る方法はあるらしい。
鍵を持つ神獣が案内してくれる。
ただ、鍵を開けるためには膨大なエネルギーが必要で、神獣がそのエネルギーを体内に貯めるには数年かかるらしい。
そして、帰ったらもう二度と来ることはできない。
クラウスとシェンの母である王妃も残ることを選んだ。

「答えを急かすことはないだろ」
シェンが言う。
昨晩の熱い抱擁が優希の頭を過ぎった。
抱いて欲しいと言ったのは自分で、そのことを後悔はしていない。
唇が指が触れるたびに身体が震え、突き上げられて意識は愉悦に浸っていた。
シェンの胸を忘れることはできないと優希は思った。

優しい風が部屋に流れる。
キアとフェイはふかふかのラグの上で昼寝をしていた。
「明日あたり、雨を降らそうか」
クラウスが暢気なことを言っていた。

優しく見てくれるシェンの瞳があって、優希は胸が熱くなった。
ずっと一緒にいたい。
そう思うなら答えは決まっていた。

二人きりになったら告げようと優希は思った。
――ずっと傍にいさせて

Fin.


最後まで読んでいただきましてありがとうございました。
力つきた感じ。パタ……(。_ _)。Zzzz..





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