昼休み
昼休みの購買はいつもごった返している。
弁当を午前中の休み時間に食べてしまったやつが、それで帰るまでもつはずもなく、繋ぎのおにぎりやパンを確保する必要があった。
カウンターに群がる人波の中で、ひときわ頭がでているやつがいる。
智は自分の弁当を抱えながら購買の後ろの壁に背をもたれて、ぼんやりとその頭を眺めていた。
目的のものを調達できたらしいその頭はくるんと振り向くと、智に向かって会心の笑みとVサインを送る。たまに残念のポーズもあったりするが、今日はばっち
りだったらしい。
からしマヨネーズ入りのやきそばパンとチーズハンバーガーとが第一希望だったりする。
「やったぜっ!」
人波をかきわけて智のところへ来ると、俊介は戦利品を智の前に差し出した。
「やったね」
智が笑い返すと、俊介が外へ行こうと促す。
天気の良い日、校庭の芝生の上で転がりながら、弁当を食べるのが至福の時だったりする。
「食うか?」
そう言いながら、俊介は自分の食べていたパンを小さくちぎって口に中へ入れてくれる。小さな欠片、それは同じものを分け合っているからそれだけで意味をも
つ。
「うーん、やっぱり外は気持ちいいな〜」
大きな体が大きく伸びをすると更に大きくなる。智と俊介の身長差は十センチ以上あった。
「ねえ」
智が声をかけると、自分の腕を枕にして寝そべっていた俊介が薄く目を開ける。
「ん?」
「気持ちいいね」
「ああ、そうだな」
口元を緩めると、また俊介は目を閉じる。
本当は好きだよって言いたい。
でも、今が幸せすぎて、その言葉は喉元ですっと溶けてしまう。
――――好きだよ
空へ向かって心の中で呟いて、いつかそう声にだせる日が来るといいなと智は思った。
Fin