抵抗する気はなかった。
俊介にされるまま、祐貴は手に触れたシーツをきゅっと握った。
昨日助けてもらえなかったら、自分はどうなっていたか分からない。押してもびくともしない相手に乗りかかられてまったく動くことができなかった。
こんなやつに好きにされるなら、と思った。
俊介の顔が頭から離れなかった。

俊介の手で身体が露になっていく。下着に手をかけられたとき祐貴は息を呑んだ。同性であっても抵抗はある。
下着の上から敏感な部分を撫でられて、
「あ……」
声が漏れて、そのことが恥ずかしく感じた。
瞬間丸めてしまった身体は、すぐに押し戻された。
「恥ずかしがることないだろ」
「でも……」
「どうせ、同じなんだからさ」
それは理屈であって、実際は違う。
「まさか……」
俊介が言いながら、下着の中へ手を入れてくる。
「人のモンが愛しく感じるとは思わなかったよ」
続けた言葉の後、自身をそっと手で包まれて、
「んっ……」
祐貴は俊介にしがみついていた。
他人に触られるのは初めてで、自分で触るのとは全然違っていた。
「お前が他のやつに組み敷かれるなんて我慢できない」
ゆっくりと撫でるようにする。
「俊……」
男同士どころか女を相手にしたこともなかった。
この間はキスだけで、優勝したら欲しいと言われた。その言葉の示す行為は分かっているつもりだった。
けれど。
――どうするつもり?
また、キスをするのかと思っていたのに、突然脱がされて俊介の手はそのものに触れている。
まさか?
そこまでは考えていなかった。
「ここも、たってるよ」
「え?」
胸の突起を口に含まれて、
「やっ!」
祐貴は思わず声をあげてしまった。
「こっちがいいんだ」
「あ、ちが……」
逃れようと身体を捩ろうとしたけれど、押さえられていて動けなかった。
舌で転がすようにされて背筋がぞくぞくする。
「やめ……」
俊介の頭に手をかけて離そうとしたけれど、手に力は入らなかった。
手が肌を這う、唇が啄ばむ。いつの間にか、身に着けていたものはすべて脱がされていた。
「っ……」
足がシーツの上を滑る。身体は宙に浮いてしまっているように心細かった。
肌を啄ばむように下へ降りていく俊介が身体から離れたと思ったら、ゆるく勃ちあがるものを口に含まれた。
「俊っ!」
まさかと思うことをされて驚いて、けれど、ゆっくりと扱きあげられて
「あ……」
身体は震えた。
「しゅん、すけ……」
身体の奥が熱く疼く。
褒美はあげるもののはずなのに、これじゃあ逆だよ、と思う。
けれど、それを口に出すことはできなくて、やめて欲しくも無かった。
ただ――。
「俊介、もう、だ……」
身体を捻って逃れようとしたけれどできなかった。
「離……」
身体を熱くするものは、はけ口を求めていて、それはすぐそこにきていた。
「だめっ……」
俊介の頭を離そうとしたのに、伸ばした手に触れたのは髪の毛だけで、するっと抜けていき手には何も残らなかった。
――だめだよ
そう思うのに身体は自由にはならなくて、
「しゅんっ……」
熱を吐き出した身体は震えた。
開放感と罪悪感と激しい鼓動が身体の中で同居していた。
「ごめ……」
荒い息遣いが耳に響く。
口元を拭うようにして、俊介が顔をあげた。
「お前が謝ることないだろ?」
「でも……」
祐貴は手を伸ばして俊介の首に抱きついていた。
「良かった?」
「ん」
「じゃあ……良かった」
頭を撫でてくる。
「良くない、よ」
自分だけが気持ち良くなって、それで終わりで良いわけがない。
息が少し収まってきたところで、祐貴は俊介の下半身に手を伸ばした。そこは確かに硬くなっていて、
「無理するなよ。嫌だろ?」
俊介はその気はないように言ったけれど、祐貴はそれを素直には取れなかった。
「巧くできないかもしれないけど」
祐貴は俊介のベルトに手をかけると外して、ジッパーを下ろした。下着の中へ手を入れてそっと握って、手の中にあるそれは自分と同じものなのにどきどきして いた。
「してくれんの?」
「ん……」
自分だけ気持ちよくなって、そのままでいることは居心地が悪い。けれど、初めてのことはちゃんとできるのか自信はなかった。
「じゃあ」
俊介がズボンを脱ぐとベッドの脇に落とす。目の前のものは勃ちあがっていて、ゆっくり扱くと更に硬くなってくる。先端が湿ってきて、俊介の息があがってき ているのが分かった。
「祐貴……」
俊介が自分のYシャツを脱いで放ると手を肩にかけてきて、背中を撫でる。
このままでいい?
でも……。
祐貴は俊介のものを口に含んだ。
手でやってくれても気持ち良かったけれど、口でしてくれたのはまた別だった。
「無理……しなくてっ……いい、よ……」
俊介の声が頭上から落ちてくる。
でも、きっとこっちの方が気持ち良いのだと思うから祐貴はやめられなかった。
荒い息遣いと共に、俊介が小刻みに腰を動かす。それにあわせるように、祐貴は丁寧に扱いた。口いっぱいに広がる質量は少し苦しくて、でも、それで気持ちよ くなっ てくれるなら、と思った。
「祐貴……っ、出しても、いいかっ?」
俊介が頭に手をかけて髪の毛を指に絡める。
声は出せなくて、いいよ、そう答える代わりに動きを早くした。
気持ちよくなって欲しい、それしか思わなかった。ずっと、辛くてもがんばっていたのを知っている。誰にも打ち明けずに、それで勝ってきた。
自分が少しでも支えになれるなら、素直に嬉しいと思った。
「くっ……」
俊介の小さな叫びと身体が震えるのを感じて口の中に苦味が広がった。それを祐貴は瞬間的に飲み込んでいた。少し質量が戻ったものを舌で拭うように撫でて、 顔を上げる と俊介が切なげな顔をして頬を撫でてきた。
「祐貴……」
俊介が身体を抱き上げるようにして、抱きしめてくる。
「期待していのか?」
身体を摺り寄せるようにして耳元で囁く。
祐貴はその問いに答えることはできなかった。

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