「水飲む?」
すぐ先まで近づいてきた柴崎に矢野が声をかけた。
「ああ」
柴崎が返事をすると、矢野が横に置いていた袋からペットボトルを取り出し、柴崎に投げる。受け取った柴崎はすぐにキャップを外すと、一口飲んだ。
そして、視線を彬へ向ける。
「何かあったのか?」
柴崎が彬に向かって言った。
「ん、明日帰るから、それを知らせに」
ただ知らせるだけなら、携帯にでも良かった。でも、それでは、あまりにそっけない気がして、かと言って部屋へ行ったら帰れなくなりそうで、日が高いうち
に、外で会うのが良いだろうと、彬は結論づけた。
「走ってる姿も見たかったし」
いい訳のように、付け加える。
「そっか」
柴崎の顔が曇った。その顔に、胸が苦しくなる。
柴崎は、もう一口ペットボトルに口をつけ、のどをごくりと言わせて飲み込んだ。
「もう、こっちへ来ないってことは無いよな?」
不安げな声で訊く。
「うん。九月の初めにある大会には見にくるよ」
「そっか」
少し表情が緩む。
「先輩は、ずっとこっち?」
練習はあるのだろう。合宿もあると聞いた。
「八月の中旬に三、四日休みがあるから、その時には戻ろうと思ってる。トレーニングは向こうでもできるし」
「そうなんだ」
「会えるか?」
訊かれて、彬は視線を落とした。
「分からない。帰ってみないと、予定たたないし」
「そっか」
柴崎の答えが胸に刺さる。淡々として聞こえる言葉が切なく感じる。負担に思わないように答えてくれているんだと分かる。今決めてしまえば先約になるのに、
それが分かっていて言葉にはしない。
「帰ってきたら連絡くれる?」
彬は柴崎を見上げた。前に会ったときよりも、また一段と日焼けの色が濃くなった気がする。高校の時も、夏は褐色だった。屋外の競技であるから、それは当た
り前だけれど、その時よりも、きっと今の方が濃い。
「ああ、そうするよ」
その後で、口を開きかけて止める。
目と目はあったまま、逸らすことはできなかった。
突然、柴崎を呼ぶ声がグランドの向こうから聞こえてきた。コーチが柴崎に向かって手を上げている。
「じゃあ、気をつけて帰れよ」
「うん」
彬が答えると、柴崎はキャップを閉め、矢野にペットボトルを投げた。そして、背中を向けると、走っていく。
きっと今日あたり彬が部屋へ来ると柴崎は思っていただろう。わざわざグランドへ来たことで、伝わったこともあるはずだ。もう抱かれるのはやめよう、と彬は
思っていた。最後だと思ったら、きっと離せはしない。
この間がいい例だ。
まだ日は残っていると分かっているのに、離れたくなくて、何度も求めていた。
前に、柴崎が彬を離さなかったときのように、今度は彬が柴崎を離さなかった。もう、快感を通り過ぎて、苦痛に感じてさえなお、離したくなかった。柴崎を感
じたまま、意識を失って、気がついたときには、惨憺たる有様だった。ジェルはキャップが外れたまま、中身が床にこぼれ、シーツはくしゃくしゃで辛うじて身
体の下に敷いている状態で、布団は部屋の隅に飛び、飛び散った白い液体は固まって、身体にも、シーツにも、床にさえ痕跡を残していた。
いつもはつけないようにしている紅い斑点のような痕もお互いの身体に散らばっていた。
ぐったりと横たわる柴崎に、おそるおそる耳を寄せて心臓が鼓動を打っていることに安堵した。
まだ会えると思ったから、あの時は離れられた。けれど、今日は――――。
「柴崎が走るよ」
ふっとかけられた声に、グランドへ視線を向けた。
柴崎がスタートラインに立っている。
――――え?
その姿に軽い驚きを感じた。確かに柴崎なのに、いつもの柔らかさと違う凛とした強さがあった。
腰を落とすとかけられた声でスタートをきる。
しなやかな肢体が風をきっていく。一点へ向かって、きれいな線を描くように身体は大地を蹴っていく。
「きれいだろ?」
かけられた声に彬は頷いた。
ほんの一瞬の出来事のように、駆け抜けていった。身体は固まって、息まで止まったように見入ってしまった。
人が走る姿をきれいだ、と思ったのは初めてかもしれない。少なくとも、記憶にはない。
タイムを計っていた部員が柴崎の肩を叩く。柴崎が一瞬彬の方を見た気がした。
彬は陸上に興味がなかったから、せいぜい新年の駅伝を見るくらいだった。短距離はオリンピックでも見た覚えはない。
「先輩って、かっこよかったんだ」
ふっと口からでた。
傍にいた、優しい笑顔をいつも向けてくれた柴崎と同じ人であるはずなのに、走り出す前は確かにそうだったのに、突然いつも感じていた気持ちと違うものが自
分の中に落ちてきた。
かっこ良い人だとは思っていた。背が高くて色黒でスポーツマンで、その上成績も良くて、きっともてるのだろうとも思っていた。そんな他人事だったはずの
かっこ良さが自分の中で意味を持つ。
「なんだ、お前、見たことなかったのか、同じ学校だったんだろ」
「見たことなかった」
体育祭で走っていた姿は見ていない。当然かもしれない。勝負にはならないのだろう。
「また、走ってくれるかな」
ほんの一瞬に感じた。ずっと見ていたいと思ったのに。
「あんなに全力ではそんなに走らないよ。いいタイムでたんじゃないの? みんな集まってる」
矢野の言うように、グランドでは人が集まっていた。柴崎が、背中を叩かれたり、頭を小突かれたりしていた。
「これも、お前効果?」
矢野が彬をうかがう。
「ぐ……偶然だよ。何? も、って。僕は何もしてないよ」
そう、何もしてない。してもらってるばっかりだ。与えてもらってるばかりだ。
「陸上に戻ったことも、だよ。一度やめて、トレーニングも一切やってなくて、よっぽど何かあったんだろうと思った。それがお前の一言であっさりだろ……お
前、愛されてんだな」
胸がとくんと跳ねる。
「……誤解するような言い方はやめて下さい。それじゃ――――」
「そうなんだろ? 」
矢野が確かめるように訊く。
「それは……それは先輩がそう言ったんですか? 」
一般的に男と男を結びつけたりはしないと思う。柴崎が言うとは思えない。自分の汚い過去をさらすとは思えない。けれど、ではなぜ、矢野は知っているのだろ
う。
「はっきりは言わない。けど、あいつがお前に拘ってることは確かだろ。後にも先にもあいつが俺を頼ったなんて一回だけだ。『どうしたらいいんだろう』そう
言ったあいつの声は震えてた」
いつのことか分かって彬は空を見上げた。
「あと、すげえ落ち込んでいた日が一日。ずいぶん遅くまで練習してて、かわいい後輩が待ってんじゃないの? って声かけたら『彬は合コン』ってあいつは答
えた。十分だろ、それだけで」
「でも、先輩は男で僕も男で、だから――――」
「だから、お前は受け入れられないんだ」
言葉を矢野に取られた。
「違う。そうじゃなくて、男同士なんだから、愛してるとか、そんなのはないでしょう」
矢野が目を細める。
「本当に、そう思ってるのか?」
鋭い視線を向けられて、彬は答えられなかった。
「もし、本当にそう思ってるなら、それ、間違ってるよ。でも……分かってるんだろ?」
諭すように訊いてくる。
「指向が違うっていうなら、それも仕方ないと思うよ。俺も、あいつに恋愛感情は持てない。だけど、あいつの気持ちを否定しちゃ、あいつが可愛そうだと思う
な」
「ずいぶん、分かってるようなコト言うんですね」
柴崎が何をしたか知らないくせに、と思った。もう許して、もう忘れたコト。そう思っていたのに、ひっこり現れた気持ちに自分も驚いた。
「あいつは、お前に酷いことをしたと言っていた。それが何かは言わなかったけど、大体想像はつく。意外だったね。学内では、伊達めがねなんかかけちゃっ
て、クールでストイックで、女がよってきても相手にしない。そんなやつが、お前相手になると、ぼろぼろなんだから」
「誤解なんですよ」
聞いていられなくて、彬は声を出した。
「誤解?」
「先輩は僕のこと誤解してて、僕はそんないいやつでも、優しいやつでもなくて、ただ、ほんと偶然に、きっと、先輩が弱ってたから、僕が言った何でもない一
言が先輩に拾われて、先輩は僕を過大評価してるだけなんだ。だから、それに気がついたら、先輩はきっと僕のことなんか相手にしなくなる」
「そうかな?」
矢野が疑問を投げる。
「だって、そうでしょう」
「そんなコト気にしてたら、恋なんてできないだろ。所詮、みんな誤解なんじゃないの? でも、それにはまってしまったのを、愛だとか、恋って言うんじゃな
いの? 」
意外な言葉に彬は矢野を見つめた。
「誤解が冷めたときに終わってしまう。永遠じゃないかもしれない。でも、いつ冷めるか分からない。それは永遠かもしれない。こいつを好きだと思っていると
きに、そんな判断なんてできないんじゃないの? 」
問いかけられて、彬は答えられなかった。
「理由なんてあってないようなモンじゃないの。優しいから、なんて言ったって、優しいなんて形容詞をつけられるやつなんて五万といるだろ」
「それは、経験?」
「かもね」
矢野は笑った。
「彼女がいるんでしょう?」
「ああ、いるよ」
「彼女を愛してる?」
「当たり前だろ」
照れも悪びれることもなく答える。
「なんで、そう思えるの?」
好きってどういう感情だったっけ――――彬に答えはでない。
「なんでかな。ただ、会いたいと思う。俺なんかより大事なやつがいて、今もそいつに掛かりきりで、頭にくることもあるけど、やっぱ、あいつに近い存在でい
たいと思う。心の距離がね。いつも、会いたいって思うよ」
「それで、いいんですか?」
自分より大事なやつがいて。
「まあ、無機物に嫉妬しても仕方ないしね」
「無機物?」
「今、パソコンに張り付いてる。実験用のプログラムを頼まれたとかなんとかで。始めると俺のことなんて眼中にないって感じだね。でも、一度俺が切れてか
ら、ちょっと変わったけど」
「切れた、んですか?」
意外な気がした。
「すげえ腹立って、携帯投げつけて、部屋を出た」
「それで?」
「最初はすげえ腹たってたんだけど、時間経つと落ち着いてきて、やりすぎたかなって思った。続けていけないなら、ちゃんとそう話した方がいいだろう、と
思って、別れ話するつもりで戻ったんだけどさ」
「それで?」
「あいつ泣いてた。パソコンの前でぼろぼろ。不本意ながらも、あれでやられちゃったかな、って感じ」
「泣かれると、弱いんだ」
涙は女の武器って言葉もある。
「うーん。あん時だけなんだよ。他の女が泣いてても、別にどってことないんだけど。却って腹が立つときもあるし。まあ、あいつはめったなことじゃ泣かない
からかなあ、見たのはあの時しかないし」
矢野がため息をつく。
「人が良いんだか、バカなのか。次から次から頼まれてきて、デートする暇もないんだぜ。これが終わったらって何回言われたかわかんないぐらいにさ。まだ、
終わんないの?訊いたら、もう次のに入ってるとか。やってらんねえ、って思わないか? 」
「うーん、そうですね」
それじゃあ、付き合ってる意味がなさそうだ。
「今は?」
彬は訊いてみた。
「今は、時間を作ってくれるようになった。遅刻は多いけどね」
少し不満げに答える。それでも、幸せそうに見えるのは、気持ちがあるからなのだろう、と思った。
「どんな理由でも……どんな理由でも会いたいって思うのは――――好き、なのかな」
疑問を呟くように言った。自分にも問いかけていた。会いたいとは思う。
「理由もなく、会いたいって思えばそうじゃないの? 俺はそう思うよ」
ちくっと痛んだ胸が顔をゆがませる。やっぱり違う。会いたい理由はちゃんとある。欲しいものがある。
「今度は、複数やるみたいだぜ」
矢野に言われて、グランドへ視線を移した。
柴崎が風をきる。その姿に、胸が熱くなる。振る腕が大地を蹴る足がきれいな曲線を描いていく。なぜ、今まで見にこなかったのだろう。彬は心の中で呟いた。
***
「彬は?」
柴崎は辺りを見回しながら矢野に訊いた。
ついさっきまで、ここに居たはずだった。
「帰ったよ。部屋の掃除しなきゃいけない、とか荷物作らなきゃいけない、とかいい訳がましい言葉残して」
「そっか」
今日は部屋に来るつもりはないのだろう、と柴崎は思っていた。でなければわざわざグランドまで来ないだろう。用件だけ済ませて、すぐ帰るのだろうと思って
いた。
けれど、休憩時間の時もいて、ついさっきまで姿が見えていたから、本当に走る姿を見に来たのかもしれない。そう思いかけていた。やっぱり、違った。そんな
はずはないんだ。いい加減諦めろよ、そう自分に対して呟く。
「どうする?これから飯でも食いにいく?」
矢野が言う。
「でも、沙希は? 今日、デートなんじゃないの? 俺がいたら邪魔だろ?」
柴崎は矢野に問いかけた。
矢野が来るのは時間つぶしのことが多い。沙希が切りが付くまでというと、時間が計れない。何も予定はいれられないから、練習を見に来るのはちょうどいい時
間つぶしになるらしい。競技なら、ともかく、練習は見ていてもつまらないだろう、と思う。そんなことはないと、本人は言うが。
「まだ、メール来ないからさ。あと一時間は大丈夫だよ。悲しいことに」
矢野が苦笑いをする。
「じゃあ、行こうか」
柴崎は矢野の脇に置いていた小さな袋をバッグに入れると、バッグを肩にかけた。
「あいつ、お前に見とれてたぜ」
矢野が後ろから声をかける。
「そんな訳ないよ」
興味がないとはっきり言われた。
「かっこいい、なんて言ってたし」
「他のやつ見てたんじゃないの?」
「ずいぶん、悲観的だな」
矢野がため息をつく。
「そうもなるさ」
柴崎は空を見上げた。
身体を手に入れても、心は手に入らないとつくづく分かった。
最初から間違っていたんだ。それは、今更、言っても仕方ないことだ。
腕の中にいくら抱いても、満たされるのは身体だけだった。
「好きだ」そう何回言っても、返ってくる言葉はなかった。
一番辛かったのは、高校三年生後半の半年だった。あんなことをしてしまったんだ、疎まれるのは仕方ないことだった。どんなに責められても仕方ないと思っ
た。けれど、彬が選んだのは無視することだった。存在を知りながら無視されているのだと感じた。絶対、関わってくるな、話かけてもくるな、そう背けられた
視線が言っているように感じた。
謝れというのなら、何度でも、どんな方法でも謝る。けれど、全てを拒絶されてはなす術が無かった。
ただ、暦が別つときを待つしかなかった。
人間は忘れる生き物だとか、時間が全てを忘れさせてくれる、なんていうのは嘘だと思う。
離れても忘れることはできなかった。かえってなお、神聖な存在のように自分の中ではあった。あいつの中でイった時を、今までに感じたことがないほどの愉悦
だったと、そう頭は記憶していた。
一年後、思いがけず大学で会って、睨まれて、きつい言葉を浴びせられて、けれど、それは苦ではなかった。
それだけのことを自分はしたのだと思っていたから、少しでもその罪が消えるのならと思った。
なのに、自分のしていたことは彬の身体を手に入れることだった。
そして、きっと、あの晩が最後のつもりだったのだろう、と思う。珍しく彬が欲しがって離してくれなかった。
彬が離れていこうとしていたことは感じていたことだった。それを、拒む権利は自分には無い。
欲しがるものを与えることしかできない。最後まで欲しがってくれた、けれど、それでつなぎとめることはできなかった。
「そんなに悲観的になることないと思うけどな」
矢野が柴崎の肩を叩いた。
「知らないからそんなこと言えるんだよ。俺はあいつに嫌われてる」
嫌われていても仕方ない。
「嫌ってるっていうより、迷ってるんだろ。男色ってのはマイノリティではあるよな」
――――え?
矢野の言葉に柴崎は立ち止まって振り返り矢野を見た。矢野があわてたように立ち止まる。
「彬が何か言ってたのか?」
矢野に自分の気持ちは告げてはいない。自分の指向に関して話をしたこともない。
「あいつも同じコト言ってた。先輩が何か言ったんですか?って。見てりゃ分かるって。さっきのなんて、離れ離れになる恋人テイストが漂っちゃって、話ン中
入れなかったよ」
矢野の言葉に柴崎は大きく息を吐いた。
「気持ち悪い、と思うか?」
どんな答えをだされても、指向が簡単に変わるわけじゃない。けれど、訊いてはおきたいことだった。気持ち悪いと言われて、これからも普通に付き合えるとは
思わない。
「最初はなんだかなあ、って思ったけどさ。まあ、俺に向かないんなら関係ないかなって」
矢野が口元を緩めたことに、柴崎はほっとした。
「お前のこと、よろしく頼まれちゃったよ。ただが一ヶ月だろ、大げさだな 」
そう矢野が続けた。
「あいつは学校をやめるかもしれない。付いていけないって言っていた」
そして、かもではなく、そうするつもりなのだろう。九月には試合を見に来ると言っていた。その時が最後かもしれない。
「そっかぁ。お前も女なら選り取り見取りだろうに、なんでそんないばら道を進むかね」
ため息混じりに矢野が言う。
「気持ちが自分の自由になるなら、とっくの昔に諦めてたさ」
あいつを傷つける前に。そうすれば、良い先輩でいられた。
「世の中、うまくいかないモンだな」
「お前はうまくいってるだろ」
「まだ、メールこないのに?」
矢野が不満げに言った。
「それくらいが丁度いいんだよ。満たされると、その上を望む。結局満たされることなんてないんだ」
「経験?」
「かな……望んで満たされて、望んじゃいけないと分かっているのに望んで満たされて。そして、また望んでしまう。結果は全てを失った」
全てを失った。もう望むこともできないところへ行ってしまう。全て自分が悪いと分かっているのに、どうすることもできない。
「あいつ?」
矢野の問いに柴崎は小さく頷いた。
「潮時だとは思ってたんだ」
共に過ごした最後の夜、目を開けたときに、彬の不安そうな顔が飛び込んできた。そして、彬は胸の上で涙をこぼした。温かいものがいくつも胸の上で弾けた。
『ごめん』
そう彬は口にした。お前が謝ることなんてないと、その時頭を撫でてやることしかできなかった。
彬に今自分ができることは、九月に成果を見せてやることだと思う。
全て許してくれた彬に、また以前のようにと言ってくれた彬に、カタチにして見せたい。
「今度は全部、陸上にそそぐさ」
柴崎は空に向かって呟いた。