卓巳をコテージまで送ると、あまり気乗りがしないような感じで雅也は自分のコテージに戻って行った。一人くらいなら部屋のスペースに余裕はあるだろうか ら、こっちに来る? と聞くのもありかもしないと思ったけれど、卓巳はそれを口にはしなかった。
雅也には雅也の付き合いがあるはずだ。
もう寝ているかもしれないと思い、ドアをそっと開けると、予想通りらしく明かりを一番小さなものに落としている部屋の中は薄暗かった。
けれど。
「え?」
コテージの中の様子は卓巳が想像していたものとは違った。
「遅かったな」
吉野が体を起こす。
「ああ、ごめん」
時計を見ていなかったから、卓巳は自分達がどれくらいの時間別行動をしていたか分からなかった。
「他のやつは?」
卓巳は吉野に問いかけた。
部屋が広く感じた。そのはずだ。部屋には四人しかいなかった。
「彼女達はあっちへ行ったよ。怖い話しないかって誘われて二つ返事」
吉野が不服そうに言う。
「バーベキューじゃあ、割りあわねえよな」
床に転がったまま言う田宮は悔しそうだった。そりゃそうだろう、自分が声をかけた子たちだ。
「……ごめん」
他に言葉がない。
「卓巳が謝ることないだろ」
小島がぼやくように言う。
「ほんに、偶然? 」
聞かれて、卓巳は答えられなかった。
「できが良い兄貴がいるって話は聞いてたけど、ありゃでき良すぎじゃん。本当に双子なのか?」
そう問いかけられて、
「そうらしいよ」
卓巳は投げやりに答えた。
よく言われることだ。
顔も性格も頭のできも、似ているものなど何ひとつない。
「お前、よくそんなに素直に育ったよな」
田宮が感心したように言う。
褒めてもらったみただと思ったけれど、残念ながら素直には育ってはいないと思う。
雅也が不安だと言うのはだからなのかな、と卓巳は思った。

「なんか、悔しいよな」
そんな声が聞こえたけれど、卓巳は寝袋をだし床に敷くとそのまま横になった。
もう夜も遅いのにセミが五月蝿いほど鳴いている。家より少し気温は低いと思うけれど、それでも何かを体 の上にかける気にはならなかった。
「卓巳、寝たのか?」
そんな声が聞こえたけれど、卓巳は答えずにいた。体を横たえた途端、一度に疲れが襲ってきたようだった。返事をすることも寝返りをうつことも辛かった。
ほどなくして、意識は落ちていた。



固い床に寝袋というのは寝るにはあまり心地よい場所ではないらしい。卓巳は目が覚めたときに、体のあちこちが痛いことを感じた。
体を起こして伸ばして、一息ため息をこぼすと、
「起きた?」
背後から吉野の声が聞こえた。
「あれ、みんなは?」
卓巳が部屋を見回すと部屋の中に居るのは自分と吉野だけだった。
「もう外へ行ったよ」
吉野が外を指差す。
「あ、ごめん。起こしてくれればよかったのに」
卓巳は体の重さを感じながらも立ち上がった。


みんなは炊事場に集まっていた。
――あれ?
遠くから見ても昨日とはだいぶ雰囲気が違うのが分かった。
「卓巳、遅いぞ」
気づいたらしく小島が声をかけてくる。
「ごめん」
そう大声で謝ったら笑って手を振ってくれた。昨日の夜は機嫌が悪そうだったのに、一晩寝てすっきりしたのか、嫌な雰囲気は無かった。
軽く口をゆすいで顔を洗うと、朝食作りに加わった。パンにハムチーズレタストマトを挟んだ簡単なサンドイッチとポテトスープ。スープはレトルトだから温め るだけで簡単なものだ。
「よく寝られたか?」
雅也が耳打ちしてくる。
「うん。雅也達は?」
結局彼女らはどうなったのだろうと思った。
「ほとんど徹夜に近いな、だからみんな眠そうだろ?」
そう言われて見てみると、大あくびをしているやつもいた。
「ずっと朝まで彼女達は雅也たちと居たの?」
帰ってきたら、分かったんじゃないかと思う。
「ああ、おかげで俺は安心だったよ」
雅也が意味ありげに笑う。
なんとなく、雅也の機嫌がよく見えるのもその所為かと思った。
少し話しただけで、雅也は自分の仲間の中へ戻った。それは、きっと安心したからなのだと卓巳は思った。

back | top | next

テレワークならECナビ Yahoo 楽天 LINEがデータ消費ゼロで月額500円〜!
無料ホームページ 無料のクレジットカード 海外格安航空券 海外旅行保険が無料! 海外ホテル