身体を余すところがないように唇が這う。
「ん……っ……はぁ……ねぇ……」
優しくしてくれるのは分かるけれど、どこかじれったかった。
「ん?」
肌を啄ばみながら大輔が応えてくれる。
「ねえ、早く……」
疼く身体はもっと刺激が欲しかった。
「こうして欲しい?」
敏感なところを握られて、胸の突起をきゅっと吸われた。
「ちがっ……」
電気なような痺れが背筋を走って、身体は仰け反って足がシーツを滑る。
「じゃあ、ここ?」
内股に滑り込んだ手が窄まりを撫でる。応える代わりに陸は大輔の肩を掴んだ。
「違うのか?」
手が離れていこうとする。
「違わないよ……」
いつもは優しい人が意地悪に感じた。
「陸、どうして欲しいのか言ってごらん」
声は優しかった。
「繋がりたい……」
ひとつに。
「そうじゃなくて、どこが気持ちいい?」
「そんなの、分かんない。どこでも……全部」
神経がまるで大輔の触れるところへ移動しているみたいだった。
「そう言ってくれるのは嬉しいけどな」
大輔が苦笑する。
「なんで? 可笑しいことなの?」
「そうじゃない。陸に気持ちよくなって欲しいから。陸が気持ち良ければ俺も気持ちいいし」
「何もしなくても?」
大輔にも気持ちよくなって欲しいと思うけれど、結果的に何もできていない。
「お前が漏らす息や声や切なげな顔も、弾けるように震える身体も、全部楽しませてくれるよ」
手が頬を撫でる。
それは全部しっかり見られてるってことだった。だからと言って、どうかする余裕もないけれど――。
「嫌いにならないでね」
大輔の腕の中に落ちてしまえば抵抗なんてできなくて、自分がどうなってしまうか分からない。
「ならないさ。絶対だよ、陸」
――絶対?
この人がそういうなら、そうなのだと疑う余地はなかった。
「早く、ひとつになりたい」
陸は大輔の首に腕を回した。
この人は自分のものなのだと、そうはっきり認めてもらいたい。
「そう急かすなよ」
大輔は身体を起こすと、手を伸ばしテーブルの上から何かを取った。キャップをはずと掌に垂らす。
「何?」
「この間よりずっと楽なはずだ」
足を割られて、窄まりにねとっとしたものを塗りつけられた。
「ジェル?」
この次は準備しておくと大輔は言っていた。
「ああ、そうだよ」
塗りこむように手が撫でる。
ぴちゃぴちゃと大輔の手が動く度に淫猥な音が響いた。
大輔が額を寄せるようにしてくる。
「陸」
「ん」
「お前に会えて良かった」
「本当にそう思ってる?」
「思ってなかったら、こうやって抱いていたりしないさ」
頭をぎゅっと抱きしめてくれる。
もう片方の手は窄まり伊を解すように撫でていて、指がきゅっと差し込まれたことに、陸はびくんと跳ねた。
「少し我慢してくれ」
大輔の指が内側を撫でる。
「大丈夫だよ」
これは経験している。
「これは?」
更に違和感を感じた。
「何をしたの?」
「指を増やしただけだ」
「うん、大丈夫」
大輔がこの間より楽なはずだと言ったのはそうなのかもしれないと思った。
「もう一本」
差し込まれた指が入り口を広げるように撫でる。
頭を抱いていた腕が離れて、少し身体が離れると顔をうかがうようにした大輔に唇を塞がれた。
すぐに差し込まれた舌で口内を撫で舌を絡ませてくる。
ほのかに生クリームの味の残る文字通り甘いキスは神経を溶かしてしまったのではないかと思うほど窄まりに感じていた違和感は次第に消えていき、意識はふわ ふわとしていった。
生クリームの味も無くなって、唇を離した大輔が額をこつんとつける。
「もう、いいだろ?」
息を吐くように言うと、身体の中がぽっかりと空いたように感じた。
「あ、何?」
大輔が身体を起こすと腰を持ち上げる。
「ひとつになるんだろ?」
大輔がジェルが手に落とすと自分のものに塗りつける。一息置いて、窄まりにあてがわれたものを感じた。
「痛かったら言えよ」
そう大輔は言ったから、
「ん」
陸は頷いたけれど、たとえ痛みがあっても言うつもりはなかった。
痛みと言ってもどれほどのものか経験がないのだから分からない。たとえ、痛みがあってもそれを訴えて『じゃあ、やめだ』と言われる方が嫌だと思う。
でも。
――我慢できるものなのかな
少し不安あった。
大輔に身体を引き寄せられて、指を入れられた時とは違う圧迫感があった。
「あっ……」
押し広げようとするそれは、確かに大輔のものだと分かっていた。
「ちょっと……我慢しろ」
大輔が苦しげに言う。
「んっ」
返事をしたかったのにそれは言葉にはならなくて、身体は仰け反り手に触れたシーツを握りしめた。
こういうことなんだと思いながら、陸は引きつられるような痛みに似た刺激を感じてぎゅっと目を硬く閉じた。
「陸、力抜いて」
そう言った大輔の声に、
――そんなこと、できないよっ!
そう心の中じゃ叫べるのに声はでなかった。自分の身体であるはずなのに、神経がどこか切れているんじゃないかさえ思える。
「もう、少しっ」
ぐっと入れられて、陸は一瞬息が止まるかと思った。
「そう、そのままでいい」
――そんなこと言われてもっ
陸はただ喘ぐことしかできなかった。
「陸……」
大輔の声が優しくなる。
「あ……」
声はでても言葉にはならなかった。
「分かるか?」
大輔に聞かれて陸は小さく頷いた。
「お前は俺のものだ」
大輔が頭をくしゃっと撫でてくる。
「ん……」
痺れるような痛みの中で、陸は大輔の存在を感じていた。

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