「陸……」
大輔の声が耳に響き、陸は首筋に熱い息を感じた。
「ん……」
大輔の手が肌を撫でる。
たったそれだけのことなのに、陸は心臓がどきどきして下半身が熱くなった。
「初めてなんだよな」
大輔が首筋に唇で触れてくる。
「うん……」
裸で触れ合ったことはあるけれど、そこまでだった。
「俺も男相手は初めてなんだから、期待するなよ」
言いながら、唇が肌を這う。
「ううん」
陸はゆるく頭を振った。
「期待はずれだったなんて言われても知らないぞ」
大輔の声に息が混ざる。
「ううん、だって、もう……」
何かされたわけじゃないのに、身体は熱くなっていた。
「ここは、もう硬くなってるんだな」
大輔の指が胸の突起を弾く。
「あっ!」
思わず声が出て、陸は背中へ回していた手で大輔にしがみついた。逞しい身体はびくともしなくて、更に硬くなったものをそのまま指で弄られて陸は身体が強 張った。
「あ、やっ、」
意味のない声が出てしまう。
「敏感なんだな」
「ちが……」
他人と比べたことなんてないのだから、自分がどうかなんてことは分からなくて、けれど、いつもより過敏にはなってはいると思った。
大輔の手が唇が触れると全身がそれを感じていた。
「そんなに硬くなるなよ」
手が頭をくしゃっと撫でる。
「俺も緊張しちゃうよ」
大輔が笑いかけてきて。
「陸……」
名前を呼んだその唇が口を塞いでくる。
啄ばむように触れてきて舌を差し入れてきて優しく口内を撫で回してくる。舌で舌先に触れると絡ませてくる。
湿った音が耳の奥で響いていた。
少し慣れてくると胸の突起を弄られることが気持ちよくなってきて、陸は身体の力が抜けていった。
離れた唇はそのまま肌を伝うように降りていき、
「本当にいいのか?」
下腹部に触れた大輔の手はもう緩く勃ちあがって震えているものをなで上げると、そのまま内股に手を差し込んで窄まりに触れてくる。
「……ん、そんなこと聞かないでよ」
優しく撫でる手にぞくぞくした。
「ひくひくしてるぞ」
「そんなこと言わないでよ」
大輔の視線が怖くて、陸は顔を逸らした。いったい自分はどういう顔をしているのか、どういう顔をしたらいいのかも分からない。
「顔、ちゃんと見せてよ」
手が頬に触れてきて、向きを直される。
「だって……」
全てを見られるのは怖い気もした。
「色っぽい、いい顔してるよ」
「そんな……」
色っぽいが何を意味するのか分からない。
「そんな顔、俺にしか見せるなよ」
大輔が眉を顰める。
「そんなの、ん……、分かんないよ」
さわさわと触られるところが、気になって大輔の言葉は半分耳を通りすぎていく。
突然手が離れていって、起き上がった大輔はベッドの脇から何かを取り上げた。
「何?」
キャップを開けると液体を手に落とす。
「オイルだよ、準備してなかったから、こんなものしかないけど」
足を開くように手を入れてきて、ぬるっとしたものを塗りこまれた。
「傷つけないためだ、分かるだろ?」
「……ん」
陸にも少しの知識はあった。
と言っても、聞きかじりも甚だしいから実際にどんなものを使うかは知らなくて、潤滑油のようなものが無かったら大変で解さないとだめだくらいのものだ。
片手で抱きかかえられ、唇は胸の敏感なところを舌で弄ぶようにしながら、もう片方の手はオイルを馴染ませるように窄まりを優しく撫でてくる。
ぴちゃ、くちゃと響く音が耳に入ると、それは下半身を刺激した。
「ねえ……僕もさせてよ」
陸は背中へ回していた手を解いて大輔に胸に触れた。自分とは違う厚くて硬い胸で、突起に触れるとそれは硬く張っていた。
「っ……陸っ」
大輔が顔を上げると、息を吐く。
「感じて、くれた?」
自分ばかりじゃなんだか悔しい。
「お前は抱かれるんだろ?」
「えっ……ん……」
そういうことになるのだとは思う。
大輔は片方の手を絡めてくると、それをベッドへ押し付けた。
「なら、自分が感じることだけ考えてろ」
え? それって。
「何もしちゃだめってこと?」
ただされるまま、身体を全て委ねなきゃいけない?
「そんなことは言わないさ。俺のことは気にしなくていい。それより――」
大輔が眉を顰めた。と同時に、陸は窄まりに違和感を感じた。
「え……」
「痛いか?」
「あ……」
絡められている大輔の手を握った。
「痛かったら、言えよ」
頬にちゅっと触れてくる。
「あ……」
痛いというのとは違う気がした。けれど、差し込まれたものが内壁を撫でる。それが身体の芯をぞくぞくさせる。
「陸……」
大輔が頬を摺り寄せる。神経は全て下半身に持っていかれていた。
「こっち向いて」
大輔に言われて顔を向けて、けれど、目の前に映る大輔は霞んで見えた。
「痛いのか?」
聞かれて陸は頭を振った。
「目が潤んでるぞ」
「大丈夫……」
抱かれるっていうのは、こういうことだと分かっていたはずだった。
「無理するな」
指を抜かれそうになって、陸はふるふると頭を振った。
「やだ、やめないで!」
言いながら、大輔の肩を掴んだ。
「痛いんだろ?」
「ううん、そんなことない」
「じゃあ、なんで?」
握っていた手を離すと、前髪を払うようにする。
「痛いんじゃない」
また、頭を振った。
「頑固だな」
大輔はぎゅっと頭を抱いてくれて、もう一方の手がゆっくりと何かを探るように内側をさする。
大輔の触れるところからぞくぞくしたものが背筋を這っていく。それは快感とは言えないものだった。
けれど――。
「あ、いやっ!」
大輔の指がある一点に触れると、身体がびくんと跳ねた。
「ここか?」
大輔が確かめるように撫でる。
「あ、嫌! やめっ!」
初めての感覚だった。内側から直接神経を撫でられている気がした。
「少し、我慢しろ」
大輔がぎゅっと抱きしめてくれる。
「あ、あっ!」
身体が弾けそうになって、でもそれを大輔はしっかりと押さえてくれた。
「抵抗しようとするな、そのまま受け入れれば気持ちよくなるから」
そのまま?
そんなことを言われても、陸に抵抗しているつもりはなかった。
大輔の手が強く弱く内側を撫でる。
ぞくぞくと粟立つような刺激に逃げ出したくなって、けれど大輔の腕が許してくれなかった。
――抱かれるっていうのはこういうこと?
こんな刺激を気持ちよいことは思えなかった。
「あ……ぅ」
のぼりくる刺激に目が潤んでくる。
けれど。
「よくなってきたか?」
「ん……」
鋭い刺激は次第に緩んできて、周りに広がっていく。身体の力が抜けてきて、気持ちよくなってきて、意識はふわふわしてきた。
けれど、それは長続きしなくて。
「イきたいのか?」
大輔が聞いてくる。
「一緒に……もう大丈夫だから」
大輔の硬くなっているものは時折足に当たっていた。
「イかせてやるよ」
大輔がふっと笑った。
え?
陸が疑問に思うと、身体を起こした大輔が下へ下がり、ふるふると震えるものを口に含んだ。
「大……っ」
先端を舌が舐めるように動く。
「あ、ちがっ!」
そうして欲しいと思ったわけじゃない。そう思いながらも身体に力は入らなくて、陸はされるままになっていた。
「ねえっ!でちゃうよ」
気持ちいいのに、文句になる。
扱き始めた大輔が動きを止める気配はなくて、更に内側も指で弄られて、どこかに飲み込まれていきそうになって、陸は手に触れたシーツを握りしめた。
「ねえっ……ってば」
抵抗したくて、身体を捻ろうとしても足がシーツをすべるだけだった。
「あ、やだっ」
泣きそうになる。
なのに、身体は愉悦に浸っていた。
強く扱かれた後、今まで包んでくれていた口が離れていって、陸はほっとしたような悲しいような気分になった。でも、それは一瞬で離されたものはすぐ大輔の 手の中に握りこまれ た。
「あ、だからっ……」
頼りない身体に力は入らなくて大輔にされるままだった。抱いてくれるというのなら、ひとつになりたいと思う。
今のままじゃ、その前に自分は落ちてしまう。
「陸、イっていいよ」
大輔が苦しげに眉を寄せる。
「大輔さ……」
イきたいのは自分だけじゃないはずだった。
陸は大輔に触れようと手を上げたのに、与えられる刺激には勝てなくて、途中で力尽きた。
「あ、……っ」
息が吸いたいのに吸えなくて、苦しいのに身体は喜んでいた。
迫り来る頂点を感じてそれが早く来て欲しくて陸は大輔の手の動きに合わせて体を揺らしていた。
「陸……」
名前を呼ぶ大輔の声が遠くなっていって、一瞬意識は白くなって、陸は内側から広がる愉悦を感じた。

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