哲平の結論
部屋はペットボトルやマックやケンタの包み紙が散乱し、パソコン画面は艶かしいポーズをしたグラビアモデルを写していた。予定ではその画面に群がるはず
だった野郎どもは画面そっちのけでコタツを囲んでUNOに興じていた。
哲平は一人少し離れて壁にもたれ、残っていた照り焼きバーガーを齧っていた。
――飯ぐらい食ってくればよかったかな
早々に家を出て来たことに、少し後悔していた。
冷めたハンバーガーに比べれば、遼平が作ってくれるラーメンの方が遥かに旨いし、智也のためにきっと何か買ってきただろうからそれはそれで魅力的だ。
けれど、お邪魔虫になることは必須だ。
一番にあがった斉木が大歓声をあげた後、哲平のところに来て隣に座った。
「しけた顔してるな」
そう言うと、転がっていたペットボトルを手に取りキャップを開けた。
「なんだかねえ」
きっと今ごろ、遼平と智也はらぶらぶなんだろうと思う。それを思うとなんだか面白くない。
「智也は?」
UNOの輪から声があがった。
なんと言うべきか迷って、
「デート」
と哲平は答えた。
それ以外に表す言葉を知らなかった。
「えーーーーー!」
一様に驚いた声があがり、視線が哲平に集まった。
あ、まずかったか? そう一瞬哲平は思った。
智也がからかわれて自分がしゃべったことが遼平に知られたら殺される気がした。
「そんなに驚くことないだろーよ。足立だって倉田だって彼女がいるだろうが、足立なんか――」
とりあえず、他へ話題を向けたかった。
けれど、哲平が放った話題は空しく空振りされ、
「智也って、哲平のことが好きなんじゃなかったのか?」
誰かが投げた仮定に一斉に頷き、
「だよな」
「だよなあ」
「違ったのか?」
誰も否定するやつがいなかった。
――は?
「いくら可愛くたって、あいつも男だろ」
まあ、現状を考えれば少し疑問も残るけれど、世間一般では男同士で恋愛感情をはぐくむことはないはずだ。
「てっきりお前らはできてんのかと思ってたよ」
「そうそう、だから、合コン誘っても反応鈍いんだろ、とかさ」
――はあ?
なんか、自分の近くでは世間一般の常識とは違っていたらしい。
「ちょっと待てよ」
さすがに哲平は口を挟んだ。
「そんな風に見られてたのか?」
考えもしなかった。
「まあ、哲平はともかく、智也はガチだと思ってたけどな」
「でも、違ったのか」
「まあ、良かったじゃないか、変な道に入らなくて済んで」
「なんか、がっかりだな〜」
「次、誰だよ」
「あ、俺かな。これ、いいんだよな」
「ほら、次お前だぞ」
UNOをやりながら、級友たちは好きなことをほざいていく。
「智也って絶対尻にしかれるタイプだよな」
とか。
「絶対、可愛がられるタイプだよな」
とか。
「俺、智也狙ってたのになあ〜」
とか。
智也がここにいないことをいいことに、話のつまみにもされていた。
マズイかもしれない、と哲平は真剣に思い始めた。
「頼むから、ここだけの秘密にしてくれよ。しゃべったの知られたら俺殺されるわ」
それは、確実だ。
「じゃあ、哲平、次の合コン付き合えよ」
それは、命令口調で、
「哲平が来るっていったら、いつもの二倍は集まるだろうな」
「二倍か? 三倍は固いんじゃないの」
「とにかく、いい目の保養ができるって」
また、好きなことを言っていた。
「いいよ。だから、約束は守れよ」
一応釘を刺すと、
「ああ、お前が殺されちゃったら意味ないもんな」
そう言って、笑いがおき、
「誰が哲平を殺すんだよ」
「智也のわけないだろ」
「じゃあ、智也の彼女? コワッ」
「あ、俺、UNO」
「あ、なんだよ〜」
試験も終わっての開放感もあるのだろう、雰囲気だけは和気藹々としていた。
「実はお前もまんざらじゃなかったんじゃないの? 今回のことだってなんだかよく分からないけど智也絡みだったんだろ?」
斉木が意味ありげな顔で見てくる。
――だったのかな
確かに、なんだか面白くない。
だけど。
「そんなんじゃないよ。まあ、あいつが片付いちゃったから、俺も真剣に彼女作ること考えようかな」
合コンも真剣に参加してみようかと思ったりした。
もう、好きなやつを遼平に取られることはないはずだった。
ただ、大好きなだった智也の笑顔を遼平に奪われて、最後の代償は大きかった気がした。
でも。
――嬉しそうだったよな
遼平との電話も、うちに入ってきたときも。
まあ、いっか、と思う。
智也が幸せなら。
大切な友達だから。
Fin
最後の最後までお付き合いいただきましてありがとうございました。
拙い文章でありお話ではありますが、少しでも楽しんでいただければ幸いです。
返信はしておりませんが、頂いたメッセージは大切に保存させていただいています。
ありがとうございました!!!
好きな人物像というのは決まっていて、健気にがんばる子だったり、一歩が出ないヘタレだったり、能天気なやつだったり、なので、どの話も出てくるキャラは
似たり寄ったりかも。
最近脱出ゲームにはまっているのですが、先輩が作ったゲームを後輩がブログ(?)でアップしているところがあって、そのやり取りにとっても萌えてましたv
(ご本人達にはごめんなさい)
クリアできないって後輩がぼやいたら、これは千人中一人がクリアできればいいと思って創ったから、お前は千人のうちの一人じゃなかったんだよ、とか。
公開後にバグがでたら、お前はデバックもできないのかと怒られたとか。
狙ってるでしょ。 とパソコンに向かって呟いてました。(笑)
好きなこと言ってるようで何か愛情(信頼)を感じるやりとりっていいなあ。
と、腐った妄想はつきません。^^
桜の花がすっかり落ち、柔らかい緑が目に付く季節になりました。
日ごとに暖かくなってくるのを感じますが、突然寒さが戻ったりもありますので、くれごれもご自愛下さいませ。
目にとめていただき、読んでいただいたことに感謝。